タクトスイッチ® の
メタルコンタクトが生み出す特性

これまでもアルプスアルパインのタクトスイッチ® の特性について、いろいろご紹介してきました。それらの特性を生み出すキーパーツのひとつがメタルコンタクト(可動接点、メタルドーム)です。今回は、シャープフィーリングタイプのタクトスイッチ® のメタルコンタクトが生み出す特性についてご紹介します。

メタルコンタクトが生み出す操作感触

タクトスイッチ® を操作する感触(フィーリング)は、移動量と荷重の推移(フィーリングカーブ)で表されます。
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シャープフィーリングタイプのタクトスイッチ® では、移動量はメタルコンタクトの高さに依存しますし、荷重もメタルコンタクトの板厚や外形によって変わってきます。

メタルコンタクトの厚み(板厚)と外形サイズ

メタルコンタクトの板厚や外形サイズによって荷重(作動力)は変わってきます。例えば、厚い鉄板と薄い鉄板を押し曲げる場合、厚い鉄板を曲げる方が大きな力が必要です。また、同じ板厚なら大きな鉄板の方がよく撓(たわ)み、軽い力で曲げられます。メタルコンタクトも同様で、板厚の薄い方、外形サイズの大きい方が軽い作動力になります。

したがって、重作動力の感触を作りたければメタルコンタクトの板厚を厚くすればよく、小型でも作動力を軽くしたければ板厚を薄くすればいいことになります。

メタルコンタクトが生み出す動作寿命

一方、薄い鉄板や大きな鉄板の方がしなやかなので繰り返しの屈曲にも耐えられるように、メタルコンタクトも板厚の薄い、外形サイズの大きな方が寿命回数は多く、逆に厚い小さなメタルコンタクトは寿命回数は少なくなります。

では、重い作動力のメタルコンタクトでも寿命回数を増やすにはどうすればいいのでしょう?アルプスアルパインのタクトスイッチ® の工夫のひとつとして、メタルコンタクトを重ねて使用しているモデルがあります。この方法により、厚い板厚の重作動力と薄い板厚のしなやかさを両立させて重作動力でも動作寿命を延ばすことができます。

メタルコンタクトの材質

タクトスイッチ® のメタルコンタクトの母材には、現在リン青銅とステンレス(SUS)の2種類が使われています。リン青銅は、強度、耐摩耗性に優れ、一般によく使われているバネ材です。一方、ステンレスはリン青銅に比べて高い強度や硬度を備えており、更に耐久性の上でも勝っているため動作寿命も延びます。そのため、メタルコンタクトを小型化、重作動力化しても動作寿命をキープすることができます。また、すべてのメタルコンタクトには導電性に優れた「銀」による表面処理を行っています。

メタルコンタクトが生み出す操作音

タクトスイッチ® の操作音は、その構造によっていろいろ出ますが、一番の要因はメタルコンタクト(可動接点)が固定接点にぶつかる時の音です。操作音はクリック感と合わせ操作完了のフィードバックになりますが、使用される環境によっては静音を好まれる場合もあります。そこでアルプスアルパインのタクトスイッチ® では、不快な音を軽減する静音化技術の取り組みも行っています。
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メタルコンタクトの形状

タクトスイッチ® のメタルコンタクトには、サイズや感触など要求される特性を出すためにいろいろな形状のものがあります。

また、メタルコンタクトの接点面に3つの突起をもっているものもあります(通称「3点ボッチ」)。こちらは耐塵性に優れたメタルコンタクトです。万が一、接点間に異物が入ってしまっても、接点接触できるポイントを3か所(複数)もつことで、たとえ1ポイントが異物をはさんで接触しなくても、他の2ポイントで接点接触して導通を確保できます。
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メタルコンタクトの製造工程

ロット内のバラツキ

タクトスイッチ® のメタルコンタクトの製造は、同一材料を連続で社内一貫生産しているため、製造ロット内*のバラツキはほとんどありません。右が操作感触を示すフィーリングカーブのロット内のバラツキを示した一例です。

*ロット間も含めた保証は仕様書による

アルプスアルパインのタクトスイッチ® のバラエティを作動力と移動量から選択頂けます。